結婚5日目、初めての給料日。夫が私に言ったんです。「俺が稼いだ金だ。1円だってお前に使わせる気はない。」…

結婚5日目、初めての給料日。夫が私に言ったんです。「俺が稼いだ金だ。1円だってお前に使わせる気はない。」...

給料日、夫の直樹が私にこう言った。「俺が稼いだ金だぞ。1円だってお前に使わせる気はない。」

結婚してわずか5日目。初めての給料日だった。私は反論した。「何言ってるの?生活費は2人で出すって決めたでしょ?」

すると直樹は鼻で笑った。「知らねえよ。今月の給料、全部母さんに渡したから。」

「お母さんに全部?」

「俺の金をどう使おうが俺の自由だろ。それに生活費くらいお前が払えよ。薬剤師なんだから、それなりに稼いでるだろ。」

その瞬間、私の中で何かが静かに切れた。私は穏やかな声で言った。「わかった。じゃあ、私もそうするわね。」

直樹は意味がわからない顔で首をかしげたが、私は何も言わなかった。

翌日、私は自分の口座に入っていた約70万円を全額、私の母の口座に振り込んだ。そして必要最低限の荷物をまとめ、記入済みの離婚届を残して家を出た。

その夜、直樹から電話が来た。「おい、お前、共通口座に入金してないだろ。家賃どうするんだよ?」

私は答えた。「私はあなたと同じことをしただけよ。」

数秒の沈黙。そして、怒鳴り声が響いた。「ふざけんなよ!」

私は何も言わずに電話を切った。

私の名前はマリ子。54歳。町の薬局で薬剤師として働いている。夫の直樹は55歳で、制約会社の営業をしている。

私たちが出会ったのは3年前。共通の知人からの紹介だった。50歳を過ぎてからの恋愛は、最初、少し怖かった。でも直樹はとても穏やかな人だった。

「マリ子さんって、本当に真面目ですよね。仕事の話をしてる時、すごく楽しそうです。」そう言ってくれる人だった。

私の母のさち子のことを話すと、「一人暮らしなら心配ですね。ちゃんと大事にしてあげてください」とも言ってくれた。

直樹自身も10年以上前に父親を亡くし、母のカズさんと二人で暮らしていた。「母さん一人だから、俺がそばにいてやらないと。」

その言葉を聞いた時、私は「なんて優しい人なんだろう」と思った。

1年ほど交際して、直樹からプロポーズされた。「これからの人生、俺と一緒に歩いてほしい。」

私は素直に嬉しかった。

ただ、結婚前、義母のカズさんに挨拶に行った時、少しだけ違和感があった。「薬剤師なの?直樹より稼いでるの?」と、カズさんが私の収入を探ってきたのだ。

それでも直樹が「マリ子は仕事を頑張ってる」と庇ってくれたし、料理も手伝ってくれた。やっぱり信じてよかった。そう思っていた。

そして結婚5日後、結婚後の最初の給料日が来た。

私たちはお互い、決めた金額を共通口座に入れることになっていた。なのに、直樹からの入金は1円もない。

「忘れてるよ。」声をかけると、直樹は笑った。「そもそも入れる気ないからな。」

「どういうこと?」

「だから、俺の金は俺のものだ。お前の金で生活してくれよ。」

私は何も言わず、翌日、全財産を母に送り、離婚届を置いて家を出た。

その後、直樹とカズさんがどんな顔をしたか、私は知らない。だけど、私の中の何かはもう戻らなかった。

私は新しいアパートで、コーヒーを飲みながら、自分の選択が正しかったと静かに思っている。

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