「冷凍食品を食えっていうのか。伝統を守れないのか。」 夫は、生後間もない子供を抱え、寝る間もなく家事と育児をひとりで回す私に、そう吐き捨てた。 実家の母も義母も、彼の言葉で私から遠ざけられた。尊敬していた義母に「何もできないバカ嫁」と言われていると知った日の夜、夫のスマホに届いた一通のメッセージ。 それを見た瞬間、私は血の気が引いた。…
「俺に冷凍食品を食えっていうのか。伝統を守れないのか。寄制中がサボるな。」 夫の義之は、泣き止まない息子をあやしながら夕食の支度をしている私に、冷凍食品の袋を投げつけるようにして吐き捨てた。 ワンオペ育児の疲れで、私はもう何も言い返す気力すらなかった。 数ヶ月前、私は初めての子供を出産した。 里帰り出産の後、実家の母が家事や育児を手伝ってくれていたが、夫が「いつまでも母さんに頼ってばかりじゃ独り立ちできない」と言って、母を帰らせてしまった。 義母も手伝いを申し出てくれたが、夫は「義母に世話になるなんて子供が気を使うだろう」と、私が何か言う前に断ってしまった。 夫は仕事が忙しいと言って家事も育児も一切手伝わない。 一家の大黒柱で、収入も夫に頼っている以上、強く言い出せない私は、昼夜問わずひとりで家事と育児をこなす日々が続いていた。 寝不足で心身ともに限界に近かったある日、私はふと夫のスマホの画面に目をやった。 そこには、義母とのメッセージのやり取りが表示されていた。 「何もできないバカ嫁だってさ。」 夫は以前、義母が私の陰口を言っていると教えてくれたことがあった。 尊敬していた義母に嫌われている事実は、想像以上にこたえた。 そして今、散らかったビール缶を片付けていると、夫のスマホに新しい通知が届いた。 「寄制中はどっちかしらね。」 何気なく画面を覗き込んだ私は、そのメッセージの内容に血の気が引いていくのを感じた。 ――その時、リビングのドアがバンと開いた。 鬼の形相をした義母が立っていた。 どうやら夫が開けっぱなしにした玄関から入り、私たちの会話を一部聞いていたらしい。 義母は夫をきっと睨みつけると、震える声で言った。 「よくもまあ、そんなことが言えたものね。」 私は何が起こっているのか理解できず、ただ二人の顔を交互に見つめることしかできなかった。