新居の玄関で、突然誰かに突き飛ばされた。振り返ると、そこに立っていたのはお母さんだった。
「新居に不審者が来たのかと思ったら、お母さんだったのね。」
「玄関で私を突き飛ばしておいて、よくそんなことが言えるわね。」
「言いがかりはやめてください。お母さんが自分の足でつまずいて、勝手に階段から転がり落ちただけじゃないですか。」
「嘘をつかないで。私はお祝いに来ただけなのに、どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないの?」
「新居祝いにお母さんを呼んだ覚えはありませんよ。」
「息子から案内のLINEが来てたわ。間違えて送ったのかもしれませんね。せっかく来たのに。」
お母さんはそう言うと、なぜか得意げに続けた。
「飯でも食べに来たのよ。超有名店のお寿司を頼んだんです。食べられなくて残念ですね。」
「私が寿司目当てで来たと本気で思ってるの?」
「いえ、でも一貫もあげたくないです。そのくらいお母さんのことは嫌いなので。まあ、許しはしないけど、保を収納してあげるわ。」
「さすが主様。物言いが随分と偉そうですね。」
「そういうつもりではないけど、私が貸した土地に家を建てたのは事実じゃない。しかも頭金1000万も出してあげたのよ。」
「だから何ですか?建てたらこっちのもんなんですよ。」
「なんて人なの?さらちに今すぐ返しなさい。」
「夫の名義で建てた家を、お母さんが勝手に取り壊せるわけないじゃないですか。」
「今までお母さんお母さんって懐いてたのは芝居だったのね。」
「今頃気づいたんですか?遅いですよ。土地さえもらえば用は済みますから。」
「私を敵に回して、親戚とうまくやっていけると思う?」
「はい。実際、たくさんの人が今来てくれてますから、忙しいんですけど。」
「私、あなたに何かしたかしら?」
「特にありませんけど。まあ、言うならば、その地主が気に食わないって感じですかね。」
「なんなのよ、それ。」
「今日は私たちの新築祝いなんです。お母さんが私が譲った土地だなんて言い出したら、場がしらけるから帰ってください。」
「別に言うつもりもなかったわ。」
「今日、最後に夫も絶縁すると言ってますので、息子はいないものと思ってくださいね。」
「どうしてそうなるのよ。」
「初詮から親から受け継いだだけの土地のくせに、地主して息子を支配してきたじゃないですか。」
「純平がそう言ってるの?」
「はい。まあ、その土地をこちらが頂いた以上、お母さんに忖度する必要がなくなったということです。」
「そう。」
「じゃあ帰るわ。」
「やった。」
「純平にもそう伝えておいて。」
「了解です。」
「あなた、絶対に後悔させてあげるから、覚悟してなさい。」
「え、何するんですか?ワクワクします。」
「ラストチャンスを棒に振ったこと、忘れないでね。」
「はい。はい。」
「あんたの寿司はないから、帰れ。」
数分後、純平からLINEが来た。
「お母さん、今日は顔出せない。ごめんね。」
「ああ、ほのかから聞いた。」
「あなたもほのかさんと同じ考えなの?」
「まあ、そんなところ。土地さえもらえば親は済みなの?」
「何者?」



