「お姉ちゃんには分からないかもしれないけど、さっさと離婚届を用意しておいてね」…

「マミー、さっきの写真は何よ?」 「はあ?何が?楽しい思い出を共有しようと思っただけよ。」 妹から送られてきた写真には、浴衣を着た夫と一緒に写る妹の姿があった。しかも背景は明らかに旅館。夫は出張だと言って家を出ていたはずなのに。 「ふざけないで。どうしてあなたと光が一緒にいるの?しかも浴衣ってことは旅館に泊まってるの?」 「そうよ。お姉ちゃんの旦那と温泉旅行楽しんでます。奪っちゃってごめんね。彼と相性いいんだよね。」 「あんた、自分が何をしてるか分かってるの?」 「もちろん分かってるよ。でもしょうがないでしょ。私たちは相思相愛なんだから。その邪魔をするなんてダメだよ。」 「ふざけないでよ。私と光は夫婦なのよ。」 「形だけでしょ。もし本当に愛し合っていたら、こんなことにはなってないわ。お姉ちゃん、社会的な地位を利用してマウント取ってきたりするから。そういうところが嫌だったんじゃない?」 「何を言ってるの?そんなことしないわよ。社会的な地位だけなら光の方が上だし。」 そう言い返すと、妹は「ああ、確かにそうか」と軽く流して、さらに畳みかけてきた。 「でも愛されてないのは確かだから、そこは自覚して。」 「どうしてこんなことをするの?」 「だから、私たちは愛し合ってるからだよ。違うわよ。なんでわざわざ見せつけるのよ。」 「うん。お姉ちゃんの立場を分からせてあげないとなって思ったのよ。愛されてもないのに夫婦を続けるなんて不幸でしょ。それなら一層終わらせた方が良くない?子供だっていないんだし。手続きもそんなにめんどくさくないでしょう。」 「そんなことをあなたに言われる筋合いはないわ。」 「私はお姉ちゃんのためを思って言ってるんだよ。ほら、私ってお姉ちゃんのこと重いじゃん。」 「だったら姉の旦那を奪うなんて真似をしないでよ。」 「奪ってないって。私たちは互いに惹かれ合ったの。そもそもお姉ちゃんと結婚してたのが間違いなのよ。」 「そこまで開き直るなんて最低よ。」 「大きな会社に勤めて稼いでいる光さんは、お姉ちゃんにはもったいない男性だわ。これからは私が光さんと幸せになるから、さっさと別れてくれる?」 「光君はそこに一緒にいるの?」 「どうしてそんなことまでお姉ちゃんに答える必要があるの?家族のプライバシーだから関わってこないで。」 「あんたは私たち夫婦の関係をぶち壊そうとしてるんでしょ。」 「それはみんなの幸せのためだって。私と光さんが一緒になるのが一番収まりがいいのよ。」 「どこが?」 「お姉ちゃんには分からないかもしれないね。でもこれは光さんの意思でもあるんだから、さっさと離婚届を用意しておいてね。それじゃ私はこれからまたお風呂に行くから、よろしくね。」 通話が一方的に切られた。私はスマホを握りしめたまま、震えていた。そしてすぐに夫の光に電話をかけた。 3分後。 「光、今どこにいるの?」 「どこって?それはもうお前に言ってあるだろ。」 「あんたが出張に行ってないことは分かってるのよ。」 「あ?なんで……」 「さっきマミから連絡があったのよ。あんたと仲むつまじい様子の写真が送られてきたわ。」 「は?マミが……」 「そうよ。あなたと楽しく旅行をしてるって言ってた。」 「嘘だろ?なんでそんなこと……」 「あんたは私のことを裏切ってたってことね。しかもよりによって妹に手を出すってどういうことよ。」 「いや、違うんだって。俺だって別に最初からそういうつもりじゃなかったんだよ。」 「どういうことよ?」 「マミから相談があるって連絡があったんだ。離婚してシングルマザーになったから色々大変で、話を聞いて欲しいって言われて。しかもお前にはなかなか言い出せない内容だって言うから、俺は一応兄として会ったんだよ。そうしたらなんかすごく迫られてきて……それで不倫したんだ。」 「それって何?もしかして自分は悪くないって言いたいの?」 「いや、ちょっとした遊びのつもりだったんだよ。お前との生活もちろん楽しいけど、ちょっと刺激がなくてマンネリっぽかっただろう。だからちょっとしたスパイスとしてさ……」 「バカじゃない。それで誰が納得するのよ。もっと他にやり方ってもんがあるでしょ。」 「頼むよ。そんなに責めないでくれよ。責められるようなことをやってるのはそっちでしょ。これで冷静に話すなんて無理よ。しかも出張だなんて嘘をついて。どうしてこんなことをするの?」 「分かったから、後で話をしよう。とりあえずそれまでは待っててくれ。」 「後っていつ?」 「明後日の朝がチェックアウトだから、それで帰った時に話をしようぜ。」 「ここまで言われてるのに、不倫旅行は満喫しようってことなの?」 「いや、だってここの旅館めちゃくちゃ高かったんだよ。それなりにいいところで、前から泊まりたいって思ってたし。それを途中で帰るのはさすがにもったいないじゃん。」 「あ、切れた……何それ?だったらもう帰ってこなくていいよ。あなたがそういう態度なら、こっちもやることはやるから。」 「ちょっと待て。勝手なことはするな。マミともしっかりと今後について話をしないといけないんだ。そのための時間であって、決して満喫するとかじゃない。」 「そういえばマミはあなたと結婚するつもりみたいよ。そこでプロポーズでもすればきっと喜ぶわよ。」 「いや、俺は別にそこまでの気持ちは……」 「だったらさっさと帰ってきなさいよ。」 … Read more

1 September 2026

「中卒のあなたがうちに入るだけで恥なの。せめてお金くらい出しなさい」――婚約者の母は、式の費用800万円を全額私に払わせると言い放った。15歳で両親を亡くし、一人で弁当屋を守ってきた私。やっと掴んだ家族だと思った相手は、私の孤独に付け込み、結局3500万円を搾り取っていった。「後で返す」という口約束だけを信じて。そして、親族全員欠席の結婚式を告げられた夜、私は彼らの本性を思い知った。でも、私…

「結婚式の打ち合わせは全部あなたがやりなさい。私は忙しいの。全部あなたが決めていいわ。ただし、谷家の格式に恥じない内容にしなさい」 義母になるはずの女性は、私にそう言い放った。私はうなずくしかなかった。 「費用にケチをつけてはいけないわ。こういうのは見えが肝心なんだから」 「ですが、あまり高額だと大変ですし、きちんと予算を立てて…」 「何言ってるの?全額あなた持ちに決まってるじゃない。うちは1円も出さないわよ」 「全額ですか?でも両家の結婚式なんですよ」 「だから何?花嫁が主役なんだから、花嫁が全額負担するのが当たり前よ。最低800万は必要ね。桐谷家の名を恥じない式にするなら」 「800万全額は、さすがに厳しいです」 「文句あるの?中卒のあなたが桐谷家に嫁げるだけでも感謝すべきなのよ。うちは全員大卒。あなたみたいな中卒がうちに入るだけで恥なの。せめてお金くらい出しなさい。それがあなたにできる唯一の貢献でしょ」 「お母さん、確かに私は学歴はありませんが、15歳から会社を経営しています。『唯一』というのは心外です」 「あの弁当屋のこと?中卒が弁当屋やってるのを『経営』って呼ぶのね。偉いわ、尊敬しちゃう。自己評価だけは立派ね」 「規模で経営を判断するものではないのでは?小さくてもお店を持ってる人は皆、経営者です」 「規模は大事よ。うちは都内に20棟のビルを管理してるの。弁当屋と一緒にしないでちょうだい。とにかくちゃんとしてね。経営者なら800万くらい出せるはずだし」 その夜、私は婚約者のタヤさんに相談した。 「お母さんから、式の費用800万を全額私が出すように言われたんだけど」 「ああ、ごめん。嫌な思いさせて。母さんは学歴のことになると頑固でさ。またなんか言ってるなってくらいで受け流しといて」 「あの、止めてくれない?全額はさすがに…」 「分かった。俺からも言うよ。でも今会社がバタバタしててすぐには動けないんだ。一旦立て替えてくれないか?後で半分出すから。約束する」 「本当に?」 「ああ。ていうか当たり前だろ。俺とお前の結婚式なんだし。女に全額出させるとか、かっこ悪いじゃん」 「タヤさん、私、正直不安だわ。お母さんとやっていけるか」 「結婚したら母さんも変わるって。今はほら、まだ法律上は他人だろ。でも家族になったらきっと変わるさ」 「だといいんだけど」 3週間後。 「あのさ、悪いんだけど、もう1つ相談があるんだ」 「相談?どうしたの?」 「会社の設備投資で急に資金が必要になった。1200万ほど融資して欲しくて」 「1200万?タヤさん、前に渡した分と合わせたら2700万よ」 「分かってる。でも今回の投資がうまくいけば、まとめて返せるんだ」 「会社の不動産はビル20棟も管理してるんでしょ?その利益で1200万が出せないの?」 「ビルの修繕費が重なっててな。一時的な資金繰りの問題だ。一気に建てたから一気にメンテが必要でさ。お前だって店舗の改装で赤字になったこともあるだろう」 「それはあったけど…」 「俺たちは規模が違うから、これでもまだマシなんだよ」 「それはそうかもしれないけど…」 「俺たちは家族になるんだろ?家族の会社を助けるのは当然じゃないか。15歳から1人で生きてきたお前に、家族を作ってやりたいんだ。だから今は俺を支えてくれ。頼む」 「分かった。融資してみる」 「ありがとう。さすが未来の花嫁だ」 半日後。 「り子さん、ごめんなんだけど、資金が必要になったの。帳簿をお願いできる?」 「かしこまりました。何の資金でしょうか?」 「タヤさんにお金を出すことになって、合計2700万」 「お嬢様、またですか?入れると3500万になります」 「さすがに少々行きすぎでは…」 「でも私もお弁当屋の改装工事で資金繰りに困っていたし。銀行で借りるよりは…」 「お嬢様、はっきり申し上げますが、タヤ様は綾野さんを見ていません。綾野さんのお財布を見ているのです」 「り子さん、そんなこと言わないでよ。彼だって頑張ってるし」 「私は綾乃野さんを赤ちゃんの頃から見てきました。ご両親が亡くなったのが15歳の頃。進学を諦め、ご両親のお弁当屋を守ると、お1人でお弁当を作っていたのを覚えています。あの小さな弁当店を今の規模にしたのは、お嬢様自身です。なのに、お嬢様が3500万を絞り取られている。このまま黙って見ているわけにはいきません」 「でも、タヤさんは私を認めてくれた唯一の男性なの」 「お嬢様、学歴がないことは恥ずかしいことではありませんよ。15歳で社会に出て、1人で会社を作り上げた。それは大学4年間で得られるものよりはるかに価値があります。それを認められないのは周りではなく、お嬢様自身では?」 「…それは」 「学歴がないことは恥ずかしいこと。そういう偏見は確かにあります。しかしどうか、ご自分をこれ以上責めず、目を覚ましてください」 「ごめん、り子さん。今はタヤさんを信じたい。ちゃんと話し合うわ」 「わかりました。ですが、私は私で、やるべきことをやらせていただきます」 1週間後。 「あの野さん、ちょっといいかしら?」 … Read more

1 September 2026

「マミー、さっきの写真は何よ?」って、姉のスマホに突然届いたのは、私の夫と妹が浴衣を着て旅館に写っている写真だった。「奪っちゃってごめんね。彼と相性いいんだよね」という妹の言葉に、私はすべてを失った。出張だと嘘をついて、妹と温泉旅行を楽しんでいた夫。「形だけでしょ」と笑う妹。それから5時間後、実家から一本の電話が入った。「サトシが高熱でうなされてるのよ」—…

「マミー、さっきの写真は何よ?」 姉から突然届いた一通のメッセージ。そこには、私の夫・アキラと妹・マミが浴衣を着て旅館にいる写真が添えられていた。 「何が?楽しい思い出を共有しようと思っただけよ」 「ふざけないで。どうしてあなたとアキラが一緒にいるの?しかも旅館に泊まってるの?」 「そうよ。お姉ちゃんの旦那と温泉旅行を楽しんでます。奪っちゃってごめんね。彼と相性いいんだよね」 頭が真っ白になった。夫が嘘をついて出張と言い、妹と温泉旅行に行っている。しかも、妹は開き直って私を挑発してくる。 「あんた、自分が何をしてるか分かってるの?」 「もちろん分かってるよ。でもしょうがないでしょ。私たちは相思相愛なんだから。その邪魔をするなんてダメだよ」 「ふざけないで。私とアキラは夫婦なのよ」 「形だけでしょ。もし本当に愛し合っていたら、こんなことにはなってないわ」 マミは昔から私にコンプレックスを抱いていた。勉強も仕事も何でも私が上だと、ずっと面白くなさそうにしていた。今回の行動も、私を見下してやろうという魂胆が見え透いていた。 「そこまで開き直るなんて最低よ」 「大きな会社に勤めて稼いでいるアキラさんは、お姉ちゃんにはもったいない男性だわ。これからは私がアキラさんと幸せになるから、さっさと別れてくれる?」 その後、私はアキラに電話をかけた。 「あんた、出張に行ってないことは分かってるのよ。マミから連絡があったわ。あんたと楽しそうに旅行してる写真が送られてきた」 「いや、違うんだ。俺だって最初からそういうつもりじゃなかったんだよ」 「どういうことよ?」 「マミから相談があるって連絡があったんだ。離婚してシングルマザーになったから、いろいろ大変で話を聞いて欲しいって言われて。それで俺は兄として会ったんだよ。そしたらなんか迫られてきて…それで不倫したんだ」 「何それ?自分は悪くないって言いたいの?」 「いや、ちょっとした遊びのつもりだったんだよ。お前との生活はもちろん楽しいけど、ちょっと刺激がなくてマンネリっぽかっただろう。だからちょっとしたスパイスとして…」 「バカじゃない。それで誰が納得するのよ。もっと他にやり方ってもんがあるでしょ」 「分かったから、後で話をしよう。とりあえずそれまでは待っててくれ」 「後っていつ?」 「明後日の朝がチェックアウトだから、帰った時に話をしようぜ」 「ここまで言われてるのに、不倫旅行は満喫しようってことなの?」 「いや、だってここの旅館めちゃくちゃ高かったんだよ。前から泊まりたいと思ってたし。途中で帰るのはさすがにもったいないじゃん」 その瞬間、私は悟った。この男は本気で反省するつもりがないんだと。 「だったらもう帰ってこなくていいよ。あなたがそういう態度なら、こっちもやることはやるから」 その後、アキラは「旅行期間中は連絡をしてこないでくれ。俺は混乱してるんだ」と言い放ち、電源を切った。あろうことか、不倫旅行を続けることを選んだのだ。 それから5時間後。 「ねえ、リサ。大変なの」 母からの電話だった。 「サトシがすごい高熱を出して、うなされてるのよ」 「え?サトシが?どうして母さんがサトシを面倒見てるの?」 「マミから出張だから預かってくれって言われてたのよ」 私の息子・サトシはまだ小さい。マミは子育てを放棄して、不倫旅行に行くために息子を実家に預けていたのだ。 「マミには連絡したの?」 「それが全然電話が繋がらないの。何度かけてもダメなのよ」 あの二人はデジタルデトックスと称して、連絡手段をすべて断っていた。 「た、とりあえずお母さんはそのままサトシのことを見てあげてて。私の方でなんとか連絡を取ってみる」 …それから2日後。最悪の知らせが舞い込んだ。 葬儀場で、私は呆然と立っていた。 「お姉ちゃん、マジで鬱陶しいんだけど。なんであんなに着信履歴を残してたの?マジでヒステリックで勘弁してほしいわ」 現れたマミは、状況をまったく理解していなかった。 「あんた、サトシがどうなったか知ってるの?」 「は?あんたにあれだけ連絡したのに全然出なくて。今はサトシの葬儀中よ」 「は?サトシの葬儀って何?意味わかんないんだけど」 「サトシは昨日の晩に亡くなったの」 マミの顔が青ざめた。 「嘘よ。そんなわけない。だってサトシはちょっとした熱だったし、すぐ治るかなって思ったのよ」 「あんたは病気の息子を置いて不倫旅行に行ったのよ。あんたがちゃんと病院に連れて行けば、こんなことにはならなかった」 「だってこの日をずっと楽しみにしてたのよ。それをちょっと熱っぽいからって理由でやめれるわけがないでしょ」 私は怒りで手が震えた。この女は、いまだに自分のことしか考えていない。 「あんたにはもう関わりたくないから」 葬儀の場で、母もマミを拒絶した。 … Read more

1 September 2026

私は姉の婚約者を寝取って妊娠した。姉に写真と検査結果を送りつけて、「私が一番可愛いから男が私を選んだの」と勝ち誇った。なのに姉は「おめでとう」と笑顔で返してきた。焦る私に、姉の幼馴染みで弁護士の男性がこう言った。「純平の不倫相手は4人いる。お前もその1人だ。そして姉は俺が守る」。すると姉は私に200万円の慰謝料を請求してきた。貯金ゼロの私は、姉の幼馴染みを利用してなんとかチャラにしようとした…

「あかり、さっき送ってきた写真。あれ何?」 姉の真美から届いたメッセージを読みながら、私は返信を打った。 「あ、見てくれたんだ。純平さんとのツーショット、可愛くない?」 「なんであなたが純平といるのよ」 姉の婚約者と、ベッドの上で。そんな状況が何を意味するのか、姉はもう気づいているはずだった。 「純平さんって、お姉ちゃんの前だと頼りない顔してるけど、本当はすっごくカッコいいんだよ。私の前だと別人みたいに甘えてくるの」 「…何考えてるのよ」 「見たまま。お姉ちゃんの婚約者、寝取っちゃいました」 「ふざけないで」 「あ、そうだ。言い忘れたけど、私、純平さんの子供妊娠しちゃった」 「…嘘よね」 「ガチ」 数秒の沈黙の後、姉から返ってきたのは、まさかの言葉だった。 「…本当に純平の子なの?他の男の可能性は?」 「は? 食いつき方が変じゃない? 愛する婚約者を妹に取られて、頭おかしくなった? 最近は純平さん以外と関係持ってないから、確定だよ」 私がそう言い放つと、姉はこう返してきた。 「…おめでとう。よかったね」 「は? 脳みそ壊れた?」 「純平の子供ができたんでしょ? それなら純平と結婚するの? あの人はイケメンで高身長で高学歴のエリートだし。私にはもったいないと思ってたから」 「…え、いいの? ガチで理解不能なんだけど」 「自分から報告してきといて、それ言う?」 姉の口調は、なぜか妙に平静だった。 「いや、そうなんだけど、さ。普通、婚約者を妹に取られたらもっと取り乱すでしょ」 「はいはい。それで?」 姉はまるで他人事のように返してきた。 「…気持ち悪い。お姉ちゃん、壊れちゃったの?」 「壊れてないよ。ただ、あかりと純平が結婚するなら、私は祝福するだけ。それに、私よりもお姉ちゃんは頭もいいし、努力してきたんだから、いい人と出会い直す機会だと思えばいいし」 そう言って、姉は一方的に通話を切った。 「はあ? 意味わかんない」 私は自分の予想とはあまりにも違う姉の反応に、困惑しながらも、まあいいかと流すことにした。どうせ、姉がそうやって強がってるだけなんだから。私が姉よりも可愛いから、純平さんが私を選んだのは当然のことだ。 それから二週間後。 「まみ、お前の元婚約者、相当やらかしてるみたいだぞ」 幼馴染みで、今は姉の担当弁護士をしている俊介が、書類を見せながら言ってきた。 「え? 純平が? まさか、愛花だけじゃないの?」 「俺も驚き通り越して呆れたんだが、愛花ちゃんを含めて、不倫相手は4人いる」 「4人…?」 「しかも、今まで証拠を掴ませなかったんだからな。愛花ちゃんの妊娠をきっかけに、純平が焦って他の不倫相手を切ろうとして、雑になった。そこを探偵事務所の連中が写真で押さえたんだよ」 なるほど。姉は、最初から知っていたのか。純平の不倫を。そして、妹のあかりが妊娠したことを、自分が動くためのきっかけとして利用していたんだ。 「愛花のおかげだな。妊娠した宣言から、検査結果までLINEで送ってきてたからな。おかげで弁護士として開示請求ができたんだよ。銀行、携帯、クレカ、色々な。それで証拠を掴んだ」 「…やるじゃん。なんか本物の弁護士みたい」 「本物の弁護士なんだよ。まあ、これでようやく肩の荷が下りるわ。私も婚約破棄の前に、きっちりとケリをつけたかったし」 「あとはこっちに任せとけ。この状況で負けるなら、弁護士引退してやるよ」 「期待してる」 数日後。 あかりは、純平との新生活に浮かれていた。 … Read more

1 September 2026

「ねえ、明日も帰るから、ご飯よろしくね。」その一言から、毎月続く嫌がらせが始まった。義理の娘・えり子は、私の作ったご飯を「まずい」と吐き捨て、風呂まで勝手に使い、私のことを「ババア」と呼ぶ。何度「来るな」と言っても、彼女は半月ごとに現れる。ある日、彼女の長袖姿がふと気になり、私は夫に相談した。すると、驚くべき事実を掴んでしまった。「実は、まさに殴られてます。」その告白が、全ての嘘の始まりだっ…

「ねえ、わかってると思うけど、明日も帰るからご飯よろしくね。」 またこの呼び方。何度言ってもやめてくれない。 「えり子さん、その呼び方はやめてって、何度もお願いしてるよね。」 「あれ?なんで?お母さんとか、じいさんとか、他に呼び方あるだろ?」 「ないわよ。どうひっくり返しても、私はあんたの義母でしょ。」 「ババアはどうひっくり返してもババアだし。」 「あなた、将来自分の子供のお嫁さんからそう呼ばれてもいいの?」 「いいわけないじゃん。しばくわ。」 ため息をつきながら、私は言った。 「それに、普通は盆と正月に帰ってくるくらいでしょ?あんた、月に一回は帰ってきてるわよ。」 「そりゃ嫁として、旦那の親のことを心配するのは当然じゃん。」 「来るのは別に構わないわ。でも、毎回ご飯がまずいとか臭いとか、風呂沸かせとか、わがまま放題じゃない。」 「うん。それの何が悪いの?」 「はっきり言うわ。迷惑なの。」 「ふうん。」 「せめて、盆と正月だけにしてほしいんだけど。」 「無理。」 「なんでよ。あんただって、美味しくもないご飯をわざわざ食べに来る必要ないでしょ。」 「食費を浮かせたいの。」 「だったら、外食するお金くらいあげるわよ。」 「いらない。だるいし。」 「息子抜きで帰ってくるのも変よ。」 「あの人は仕事で忙しいんだもん。」 「うちの夫も、不信に思ってるわ。」 「あの地蔵はほっときなよ。将棋とご飯のことしか頭にないんだから。」 「とにかく、明日も行くから、よろしくね。」 そう言い残して、えり子は帰っていった。 翌朝、夫に愚痴った。 「ねえ、あなた。えり子さんがまた明日来るらしいわよ。」 「そうか。」 「あなたからも、なんとか言ってよ。来るたびに寝そべったままわがまま放題、たまったもんじゃないわ。」 「好きにさせてやれ。」 「あなたはいいわよね。無視してればいいんだから。」 「断っても来るんだ。よほど居心地がいいんだろう。」 「そうかしら。その割には、ご飯食べたらお礼も言わずにさっさと帰ってるけどね。」 「まあ、忙しいみたいだし。」 「一人分の飯を作るのが面倒なんじゃないか。」 「あの人の味方をするの?」 「そういうわけじゃない。」 「息子のお嫁さんだと思って我慢してきたけど、口の聞き方も態度も、あんまりだと思わない?」 「まあ、確かにひどいな。」 「だったら、どうにかして。」 「わかった。明日来るなら、ちょっと話してみるよ。」 「頼んだわよ。」 翌日。えり子が来た。 「ああ、今日も食った食った。」 「買ってきたお肉、全部食べちゃうなんて。肉って言ったって、鳥の唐揚げじゃない。夫の分が残らなかったじゃない。」 「知らないし。出かけたじいさんが悪いんでしょ。」 「風呂まで入って帰るなんて、何なのよ。家で入ればいいでしょ。」 「水道代とガス代浮いてラッキー。」 「なんて人なの?」 「でも、今日のご飯もしょぼかったわ。」 「あれだけ食べておいて、よく言うわよ。」 「せっかく寄生したんだから、高級寿司くらい出せよ。」 「食べたければ、自分で買ってきなさい。」 … Read more

1 September 2026

義母を「赤の他人」呼ばわりしたLINEを、誤って義母本人に送信してしまった。その日のうちに、私たちは絶縁状態になった。1年後、保育園に入れず困った私は、義母に孫の世話を頼みに行った。すると義母は「前向きに検討する」と言ってくれた。しかし、その背後で、外国人の友人マイクさんが“ある作戦”を進めていた。ホストに夢中な私と、借金まみれの夫に、マイクさんが仕掛けたものとは?…

「息子の誕生日に、義母が勝手に来てたの。家族だと思ったことなんて一度もないのに。早く帰ってくれないかな。」 リサは庭に溢れる人々を見渡しながら、つい本音を漏らしてしまった。その瞬間、自分の失態に気づく。 ――しまった。母に送るはずのLINEを、間違えて義母に送ってしまった。 「そうなのね。そんな風に思われてるなんて、ショックだわ。」 「すみません。でも、本音なんで。」 「だって、私、呼んだ覚えないですもん。」 「息子に『来ればいい』って誘われたんだけど。」 リサは舌打ちしながら言った。「勝手なことすんなって、後で説教ですね。」 義母は静かに訊ねる。「そんなに迷惑だったかしら。」 「はい。赤の他人が紛れ込んでると、どうも盛り上がらないんですよね。」 義母は庭を見渡した。「随分とたくさんの赤の他人が来てるようだけど。庭にも人が溢れてるわよ。」 「友達とか親戚とかで、20人くらい呼んでますね。」 「どうしてこんなに盛大にしたの?」 「プレゼントがもらえるからに決まってるじゃないですか。」 「そんな理由で……」 「何か文句あります?」 義母は呆れたように息を吐いた。「いや、別に。ところで、息子の姿が見えないんだけど。」 「さあ、出張か何かじゃないですか?」 「なんだ、そうだったのね。あなたとはる樹君はどこなの?」 「なんでそんなこと聞くんですか?」 「主役がいない状態で、みんなもどうしていいかわからないって感じだから。」 「駅まで母を迎えに行ってます。ちゃんと友達には伝えてきました。」 「そう。お母様にもご挨拠したかったけど、夫が帰るって言ってるから、失礼するわね。」 「どうぞご自由に。」 義母は最後に言った。「お誕生日おめでとう。それといつも子育てご苦労様です。」 「ああ、そうだ。プレゼント、何買ってきました?」 「1歳の男の子が遊びそうなおもちゃとか、絵本を選んだの。」 「マジか。もういらないんで、持って帰ってください。」 「せっかく夫と選んだのよ。はる樹君は気に入ってくれるかもしれないじゃない。」 「ゴミになるのでいりません。」 「ひどすぎるわ。」 「優しい方だと思いますよ。会話してあげてるだけマシでしょ。」 「もういいわ。じゃあ帰るわね。」 「やった。」 翌日。夫の竜二が不機嫌そうに言った。「裕子、お前、あんなことするなら行かなきゃよかったわ。」 「何が?」 「はる樹の誕生日会よ。」 「何言ってんの? 俺、行ったよ。」 「え? ずっとビール飲んでたけど、中にいたから気づかなかったわ。なんで話しかけてくれないのよ。」 「リサに言われてたんだよ。『義母が来ても無視してろ』って。なんでそうすれば居心地悪くなって5分で帰るでしょ、ってさ。」 「何なのよ、それ。だったらどうして呼んだの?」 「お祝い目当てに決まってるじゃん。」 「はい?」 「でもおもちゃとか本だろ。リサすごくがっかりしてたぞ。」 「あなたまでそんなこと言うなんて。」 「あなたはリサさんの言動に対して何も思ってないの? 別に無視するくらいなら、どうして私たちを呼んだの?」 「プレゼント次第では1時間くらいならいさせてやってもいいって、リサが言うから。」 「何だったら満足だったのかしら? 現金じゃね?」 「それはあなたたちが嬉しいだけでしょ? 私は孫が喜ぶものを渡したかったのよ。」 「それこそエゴじゃないか。自分たちがはる樹に好かれたいだけだろ。」 … Read more

1 September 2026

私の弁護士用口座にあった5000万円が、私が知らないうちに義母と夫によって二世帯住宅に変わっていた。「あんたの貯金で家を買ったわよ」と義母は笑顔で言った。しかも職場まで片道1時間半の場所。私が反対すると、夫は逆ギレして「お前、浮気してるだろ!」とAIで作った偽の証拠まで送りつけてきた。でも、私は弁護士だ。反撃の方法はいくらでも知っている。そして、夫に探偵を雇わせたのは、ある兄の一言がきっかけ…

「あなたの貯金、5000万円で家を買ったわよ。」 義母がにこやかにそう言ったとき、私は耳を疑った。弁護士である私、伊藤夏の口座には確かに5000万円があった。でもそれは私のお金ではない。依頼者から預かった預かり金だった。 「さすが弁護士さんね。結構溜め込んでたじゃない。」 「勝手に通帳を見たんですか?」 「ちょっと目に入っただけよ。廊下に落ちてたの。」 私は冷や汗をかいた。通帳は常に鞄の中に入れ、持ち歩いている。落とすはずがない。それなのに義母は平然と手にしていた。 「また鞄の中を漁ったんですか?」 「またって何よ。私がそんなことするわけないでしょ。」 義母は私のマンションに頻繁に遊びに来ては、あれこれ物色していた。それを指摘すると、彼女は話をすり替えた。 「それより、こんな大金を持ってるのに息子や私に黙ってたことを詫びなさい。」 「謝る必要はありません。そもそも、そのお金を私以外の人間が引き出すことは不可能です。銀行から確認が入りますから。」 「分かってるわ。だから先に動いたの。」 「どういうことですか?」 「息子の名義で家を買ったってことよ。たったの5000万円で。しかも二世帯住宅。今までは別々だったけど、これで息子と一緒に暮らせるわ。」 私は言葉を失った。勝手に私の預かり金で家を買い、さらに自分が住むつもりで二世帯住宅まで選んだというのか。 「勝手に決めた上に人の金を当てにするなんてどうかしてませんか?」 「どうして? あなたも住めるんだからいいじゃない。」 「私はマンション派なんです。」 「え? 絶対に一軒家の方がいいわよ。」 夫の太陽に話すと、彼は浮かれていた。しかし私は彼に真実を伝えた。 「あの通帳の5000万円は私のお金じゃない。弁護士用の預かり金口座なんだ。」 「は? どういうこと?」 「預かり金口座。弁護士伊藤夏って書いてなかった?」 夫は通帳を見たとき、名義が変だとは思ったが、私の名前だったから私のものだと思ったらしい。私は説明した。弁護士は依頼者から預かったお金を自分の事業口座と明確に分けて保管する義務がある。あのお金は手数料を引いてから依頼者に振り込むためのお金なのだ。 「なので、あのお金で二世帯を買うほどの余裕はありません。」 「まずいわ。もうハウスメーカーも決めて着工してしまったの。」 「嘘でしょ?」 義母は契約も済ませてしまったという。場所を聞くと「都内」とだけ。23区内ではなく都内。電車とバスで職場まで1時間半かかる場所だった。 「1時間半、本気で言ってます?」 「太陽は頑張って通うって張り切ってるわよ。若いんだからやればできる。どんまい。」 「いりません。すみません。」 「太陽の収入でギリギリローンは通せたけど、あなたの助けもないと今後払っていけないのよ。」 「車のローンだってあるし。」 「売りなよ。」 太陽は一軒家が男の憧れだと主張した。数年前、同じように「男の憧れ」と言ってベンツを勝手に買ったことを私は思い出した。そのおかげで一度だけ江の島にドライブに行ったが、それきりだった。 「結婚してから、家賃や光熱費も私が全部出してたよね。」 「なってない。」 「本当にそう言える?」 「言える。」 「じゃあ、一人で頑張って。知り合いの弁護士から連絡させるわ。さようなら。」 太陽は逆上した。 「分かったぞ。お前、浮気してるな。」 「は? だから都合がいいんでしょう。証拠を出して。そうしたら認めるわ。」 数日後、太陽はメールで「証拠」を送ってきた。しかしそれは明らかにAI生成の画像だった。右下にはAI生成を示すマークが入っている。 「これは俺が入れたんだ。」 「もうわけのわからないことをしない方がいいよ。黙って離婚に応じた方がいい。」 「無理だ。それだけはできない。」 太陽はカードの利用額を減らして車を売れば問題なく暮らせると言っても聞かない。別居でもいい、自分と母は一軒家に住み、私は都内に小さなマンションを借りればいい。財布だけは共同にしよう、たまにデートもしよう、と。 「それ、私に何の得があるの?」 「とにかく俺は絶対に別れないからな。」 私は兄に相談した。兄は不動産関係の仕事をしており、私の職場の近くに単身向けのマンションを探してほしいと頼んだ。 … Read more

1 September 2026

私の婚約者が、妹から突然送ってきた写真。ベッドの上で、姉の婚約者と写る妹。その後に続く言葉が、私の人生を激変させた。 「お姉ちゃんの婚約者、寝取ってみた。あ、私、もう赤ちゃんできちゃったから」…

あの写真が届いたのは、何の前触れもない昼下がりだった。 「あか、さっき送ってきた写真。あれ何?」 姉からのメッセージには、絵文字も句点もなかった。 「あ、お姉ちゃん見てくれたんだ。見たわよ。なんであなたが純平といるの?」 姉の婚約者と、ベッドの上で。本当に何も考えていない妹、愛花からの挑発的な写真。私はポーチを持つ手を強く握りしめた。 「純平さんの願望、すっごく可愛くなかった?お姉ちゃん、相手だと見せないんでしょ」 「一体何考えてるのよ」 「見たままだけど。お姉ちゃんの婚約者、寝取ってみたみたいな」 「ふざけないで。いくら何でもこれは、ないわよ」 「ああ、そうそう。私、純平さんの子供、妊娠しちゃったから」 「は? 冗談よね」 「ガチガチ。後で検査の結果とか見せてあげる」 心臓が止まるかと思った。頭の中が真っ白になって、言葉が出なかった。すると、愛花はけろっとした声で続けた。 「奪っちゃってごめんね。私、純平さんと幸せになるから。お姉ちゃんの婚約者、いただきます」 「本当の本当なのね」 「嘘はないよ。お腹の子は純平の子で確定」 私は、何度も深呼吸をした。怒りを通り越して、自分の耳を疑った。 「食いつき方、キモい。愛する婚約者を奪われて頭おかしくなった?」 「今はそんなことはどうでもいいの。それよりも、本当に純平の子なの?他の男の子供っていう可能性は?」 「いや、グイグイきすぎ。脳破壊されてるじゃん。最近は純平さん以外とは関係持ってないから確定だよ。お姉ちゃん、これ、検査の結果」 妊娠検査薬の映った写真を送ってきた。陽性のラインが、くっきりと映っている。 「愛花、本当にありがとう。おめでとうね」 「…え? いやいやいや。マジで脳みそ壊れちゃったの? こわ」 「純平の子供ができたんでしょ?」 「そうだけど」 「じゃあ、純平と結婚する気?」 「当たり前じゃん。イケメンで高身長で、高学歴のエリートじゃん。お姉ちゃんにはもったいないと思ってたんだよね」 「そう、おめでとう。私、今本気で嬉しいって思ってる」 「え、いいの? ガチでやばくない?」 「自分から報告してきて、その言い草はないでしょ?」 「それはそうなんだけど…そのリアクションは違うっていうか」 「何? 泣き喚いたら納得行くの? この、よくも純平をって言えばいい?」 「いや、え、自分の婚約者が妹に取られたんだよ。もっとあるでしょ」 どうやら愛花は、私が冷静でいることに腹が立っているらしい。私は、心の中でほくそ笑んだ。 「ああ、はいはい。脳破壊、脳破壊。これダメだわ。しばらく立ち直れないわ」 「ふざけないでよ。純平さんは私みたいに可愛くて愛嬌のある子が好きなの。だからお姉ちゃんを捨てたの。わかる? 捨てられちゃった。ぴえ」 …ああ、そう。 「そうやって強がってんだ。私よりもブスだからしょうがないもんね。男が取られるのも当然っていうか」 「お母さんに連絡入れたら、明日は帰省だって」 「は? なんで?」 「とにかくありがとう。愛花のことは大好きだよ。純平のことは、よろしくね」 「持てない女の負け惜しみ、やばすぎ。言われなくてもよろしくするから、心配しないでね」 その日、私は眠れなかった。しかし、それは悲しみのせいではない。計画を練るためだ。私の中で、ある計算が頭を過ぎっていた。 それから2週間後。私は幼馴染で、今は弁護士をしている瞬に連絡を取った。 「瞬、お前の婚約者、相当やってるみたいだぞ」 「お、さすが仕事が早い。やっぱり弁護士先生は違うね」 「チクショウ。てか瞬って呼ぶのやめろ。よ、葉山。今はお前の雇った担当弁護士だぞ。もうただの近所の兄ちゃんじゃねえんだ」 … Read more

1 September 2026

「あんたが奥さん?私のブリンの彼女です。うわ、頭悪そう」…

「あんたが奥さん?私のブリンの彼女です。うわ、頭悪そう」 ドアを開けた瞬間、見知らぬ若い女が仁王立ちしていた。ピンクの髪に派手なメイク。二十代半ばといったところか。 「は?マジで何なんだけど。何の用ですか?」 「最後だから挨拶くらいしておこうかと思って。ブリンのスマホ見て連絡したの」 「何が最後なんですか?」 「あんた、もうすぐ捨てられるんだよ」 「そうなんですか。知らなかったです」 彼女は勝ち誇ったように笑った。 「ブリンはエリートだから海外赴任が決まったの。それで選ばれたのが私ってわけ」 「初耳ですけど」 「あんたなんかと遠距離するのもだるいから、別れて私を連れてってくれるんだって」 「なんで本人が言わずに、あなたが連絡してくるんですか?」 「そのうち言われると思うけど、私からも一言かましてやりたくてさ」 「私があなたに何かしました?」 「私の大事なノブリンを独占したでしょう」 「結婚してましたからね」 「1年も気づいてないのに、何が妻だよ」 「知ってましたよ」 彼女の顔が固まった。 「は?」 「探偵も入れて、とっくに特定してます。浜田ももかさん、26歳。高校中退。ご実家は宮崎県で、父と母と兄が住んでるんですね」 「なんでそんなことまで調べてんの?」 「だってあなた、仕事もしてないみたいだし、その様子じゃお金も持ってないでしょう。だったら、あなたが慰謝料を支払えない時は、いずれご両親に相談しないといけないかもと思って調べさせていただきました」 「慰謝料って何?なんで私が払うわけ?」 「若いから。いや、頭がよろしくないからご存じない。あなたが今やってることは、不貞行為と言います」 「何それ?不貞行為、意味わかんない」 「奥さんがいる人と関係を持つことです」 「好きになって一緒にいることの何が悪いの?」 「だったら順番を守らないと。行列に横入りされたら、腹が立つでしょう?」 「そりゃそうだけど…」 「離婚してから付き合えばよかったんです。順番を守らないから、こういうことになるんですよ」 「えっと、結局どういうこと?」 「私が弁護士を通して慰謝料の請求をします。払っていただけないようでしたら、ご実家に連絡します。それでも決着がつかなければ、裁判になりますね」 「は?無理なんだけど」 「しかも、夫と一緒に海外赴任についていくんですよね?」 「そのつもりよ」 「そういう計画を離婚前に立てているのは、悪質ですね。そこら辺も慰謝料の額に反映されるかもしれません」 「それって大体くらいなの?20万とかなら、友達が貸してくれるかも」 「桁が1つ足りませんね」 「は?200万?」 「最低でもそのくらいです。私の心のダメージは、そんなに安くありません。だって15年も夫婦でいたんですよ。息子だって中学生の多感な時期です」 「じゃあ、海外赴任についていかなければいい」 「行かなくていいんですか?」 「だって裁判とか無理だし。何より実家に言われるのは絶対ダメなの」 「厳しいご両親みたいですもんね。まさか東京でOLとして真面目に働いてると思っていた娘が、既婚者と交際してるなんて。田舎のご両親が知ったら、さぞかし驚くでしょうね」 「お願いします。言わないでください。じゃないと連れ戻される。あんな山奥で暮らすのは絶対に嫌なの」 「あなたが社会人として自分で責任を取れるのであれば、連絡する必要はありません」 「わかりました。ノブリンとは別れます」 「あっさり切り捨てるんですね」 「海外もついていかないし、今すぐにブロックします」 「そこまでしていただけるのであれば、こちらも慰謝料については交渉に応じましょう」 「本当ですか?」 「近いうちに弁護士から連絡があると思いますので、そこはしっかり対応してくださいね」 「わかりました。本当にすみませんでした」 「若いんだから、同世代の素敵な人を見つけてください」 … Read more

1 September 2026

「今度の法事、あのブス嫁も連れてくるの?」――母のその言葉で、私はすべてが凍りつくのを感じた。結婚してから義母は何かと私に意地悪をしてきたけど、まさか実の息子を呼び捨てにされた上に、廊下に薄い布団を敷いて「そこで寝なさい」と言われるとは思わなかった。我慢の限界だった。私は夫に告げた。「お母さんは、これから小さなストレスを抱えることになると思う」。夫は笑って「許すまじ」と言った。私は、広島で出…

「今度の法事、あのブス嫁も連れてくるの?」 その言葉を聞いた瞬間、俺の手が止まった。母の口から出た「ブス嫁」という言葉に、俺は怒りを通り越して呆れてしまった。 「母さん、いい加減にしてくれ。俺が選んだ人なんだから、そんな風に言うなよ」 「だって嫌いなんだもん」 「なみの何がそんなに気に入らないんだ?」 「気が強そう。料理下手そう。昔遊んでそう」 全部、想像でしかない。母の「勘」という名の偏見に、俺は何度も辟易してきた。近所の誰々が離婚するというのも、全部この「勘」で言い当ててきたらしい。 「なみも母さんと距離があるって気にしてたぞ。話しかけてもそっけないって」 「だってまともに話したらケちょんケちょんに言いたくなっちゃうでしょ。そしたらかずが悲しむと思って」 「その気遣いをなみに向けてくれないかな」 母がピーマン嫌いを克服したと言った時、俺は「大人になったね」と返した。母は「私もピーマン嫌い克服してみるわ」と言ってきた。なみとピーマンを同列に扱わないで欲しかったが、歩み寄ってくれたことに少しだけ希望を持った。 数日後、法事の日。なみは母の運転で向かっていると連絡してきた。 「亭主に運転させて隣で口開けて寝てるの?起き楽で羨ましいわ」 「起きてますが」 「冗談よ」 最初から、この調子だった。親族の集まりに来たなみは挨拶をしようとしたが、母は「奥の和室を用意してあるから、そこで映画でも見て時間潰してくれたらいいわ」と追い返そうとした。 「結婚式以来ですし、親戚の皆様にもご挨拺をさせていただきたいのですが」 「人前に出せる顔ですか?」 「はい」 「冗談よ」 母は「冗談」という言葉を使えば何を言っても許されると思っている。俺はその時、はっきりと言った。 「母さん、冗談にすれば何でも言っていいと思ってませんか?」 母はそれでも笑っていた。なみは「私はかずさんの妻として恥ずかしくない働きをしたいと思っています」と宣言したが、母は「まあご立派でびっくりだわ。猿と思ってたらチンパンジーだったくらい驚いちゃった」と嗤った。 法事の最中、なみはマイクと電話をしていた。マイクは広島で出会った男で、なみが「変なストレスを与えてしまう、JSA(地味なストレス与えちゃう)」という冗談を言うほどの仲だった。 「義母から早速先制パンチ食らっててさ」 「ああ、ジャパニーズ義母は本当にそこ以上があるだぜ」 「いい人もいると思うよ。僕の友達も義母に苦しめられたやつたくさんいる」 「息子が可愛いが故の行動なんだろうけどね」 「でもその息子が愛した女だ」 マイクは「もし今回の法事で何かあれば依頼したい」というなみに、「JSAに関してはお金もらわない」と約束してくれた。 そして、数時間後。事件は起きた。 「ねえ、買い出しすぎるわよ」 「さすがにウイスキー5本、焼酎5本は持てないのでタクシーを待っているところです」 「まあセレブね」 「車で行きたかったんですが、お父さんにお酒を進められて飲んでしまったので」 母はなみが「夫(父)に色目を使った」とまで言い出した。 「そんなことしません。する意味がありません」 「まあ、夫には男の魅力がないって言いたいの?」 「その揚げ足取りやめてくれませんか?会話が成立しないので」 「私を保釈扱いするなんてひどいわ。これでも一生懸命生きてるのに」 夜が更け、俺は飲み疲れて寝てしまった。目が覚めると、母がなみにこう言っていた。 「あなたの寝る部屋がないのよ」 「いや、かずさんと一緒でいいですけど」 「だから親戚を私の部屋に寝かせて私はかずと一緒に寝ることになるでしょ」 そして、なみの布団は廊下の床に敷かれていた。 「嫁の布団は廊下の床に敷いた。そこで寝んな」 朝、なみは何も言わずに始発で家に帰っていた。俺が電話をすると、なみはすべてを話してくれた。廊下でバスタオル1枚で寝かされたこと、腰が痛くて眠れなかったこと。 「なんで黙って帰ったの?」 「よく寝てたから起こさなかった。ごめんね。先に出て」 「何かあったんだな。俺が酔いつれてしまったばかりにすまない」 「かずは悪くないよ。親戚と楽しそうに飲んでるの見れて私も嬉しかったし」 俺はなみに言った。 「親か妻かという2択しかないなら俺は迷わず君を選ぶ」 その時、なみからお願いされた。 「かず、1つだけ許可が欲しいの」 … Read more

1 September 2026