嫁の手術費100万円を盗んで彼氏とバリ旅行へ行った姑。浮かれて帰国すると、家も息子も跡形もなく消えていた…
第2部 静子は5年前に義父を亡くして以来、贅沢三昧の生活を送っていました。義父が残した遺産もわずか数年で高級ブランド品やエステに使い果たしたのです。 「健太、私一人じゃ寂しくて死んじゃうわ。一緒に暮らしましょう」 そう泣きつかれて、心優しい健太は同居を承諾してしまいました。それが私たちの地獄の始まりだったとは、露知らずに。 静子は家事一つ手伝わず、一日中リビングでテレビを見ては文句ばかり。 「真理さん、今日の夕食、味が薄いわね。病人食じゃないんだから」 「掃除が行き届いていないわ。これだから病気の嫁は使えないわね」 私が寝込んでいる時でさえ、枕元で嫌みを言い続けるような人でした。健太がいないところではさらに言葉の暴力はエスカレートしていきました。 「あんたみたいな心臓の悪い女は、うちの家系にはふさわしくないのよ。健太もかわいそうに、こんな欠陥品と結婚して一生を台無しにするなんてね」 それでも健太に余計な心配をかけたくなくて、私はずっと黙って耐えてきました。 健太が夜遅く帰宅すると、静子はまるで別人のように優しい母を演じます。 「健太、今日も遅くまでお疲れ様。お母さん、真理さんの看病で疲れちゃったわ」 そんな嘘を平然と吐き、健太の優しさを独占しようとするのです。 そして手術の日程が決まったあの日、私たちがタンスの奥に大切に隠していたあの茶封筒が消えました。それは明日の朝には病院へ持っていくはずだった、私の命の代金です。 パニックになりながら家中を探し回る私の前に、静子は現れました。 「お母さん、ここに置いてあった封筒を知りませんか?」 問い詰める私に、静子は勝ち誇ったような笑みを浮かべて答えたのです。 「あ、あの汚い封筒のこと? もう私の手元にはないわよ」 「え……どういうことですか?」 「今頃、旅行代理店の口座に振り込まれているはずよ。バリ島行きのチケットとホテルの宿泊代としてね」 その瞬間、私の頭の中は真っ白になり、足元が崩れ落ちるような感覚に陥りました。1円1円を積み上げてきた1年間の日々が、一瞬で消え去ったのです。 「あれは健太さんが必死に働いて貯めたお金なんです。返してください」 「うるさいわね。親孝行だと思えばいいじゃない。あんたはそのまま死ねばいいのよ」 静子はそう言い放つと、翌朝本当に成田空港へと向かってしまいました。 残されたのは発作で動けなくなった私と、空っぽになったタンスの引き出しだけ。 私は薄れゆく意識の中で必死に健太に電話をかけようと指を動かしました。だがその時、玄関の鍵が開く音が聞こえたのです。 帰ってきたのは仕事に出ているはずの健太ではありませんでした。そこに立っていたのは、私の主治医であり幼馴染みでもある佐藤先生でした。 「真理、大丈夫か? 連絡がないから心配で見に来たんだが」 先生の顔を見た瞬間、私は堰を切ったように涙が溢れ出しました。 「先生……お金が……お金がなくなっちゃった……」 これが私の逆襲の本当の始まりだったのです。 佐藤先生は倒れている私を抱きかかえると、すぐに救急車を呼びました。 「真理、しっかりしろ! 意識を保つんだ!」 遠のいていく意識の中で、私は先生の必死な声を聞いていました。搬送される直前、私は最後の力を振り絞って先生にスマホを託しました。 「先生、これ……録音されてます」 実は義母・静子が部屋に入ってきた瞬間、私は咄嗟にスマホの録音アプリを起動させていたのです。そこには彼女が私の命をゴミのように扱い、100万円を盗んだことを自慢げに話す証拠が全て残っていました。 病院に運ばれ、応急処置を受けた私は数時間後にようやく目を覚ましました。隣には知らせを聞いて駆けつけた夫の健太が、顔を真っ青にして座っていました。 「真理……良かった。本当に良かった」 健太の目には涙が溜まっており、その手は小刻みに震えていました。 私は酸素マスク越しにかれた声で事実を伝えました。 「健太さん……ごめんなさい。手術代……お母さんが……」 健太は私が最後まで言い切る前に深く首を振りました。 「いいんだ、真理。佐藤先生から全て聞いた。録音も確認したよ」 その時の健太の目は、今まで見たこともないほど冷たく、静かな怒りに満ちていました。 「母さんがあんなことをするなんて……俺、自分の親を信じていた自分が情けないよ」 健太は私の手を握りしめ、絞り出すような声で言いました。 「真理、もう我慢しなくていい。俺が必ず全てにケリをつけるから」 しかしその頃、成田空港の出発ゲートでは義母の静子が優雅にシャンパングラスを傾けていました。彼女の隣には自称実業家の、若くて派手な男・竜二が座っていました。 「静子さん、本当にいいんですか? 100万も出しちゃって」 竜二の甘い言葉に、静子は頬を染め、うっとりと答えました。 「いいのよ、竜二君。こんな病気自慢の嫁に使うより、あなたと過ごす最高の時間に使う方がお金も喜ぶわ」 「でも息子さんにバレたら大変なんじゃ……」 「大丈夫よ。健太には『真理さんが無理やり私にプレゼントしてくれた』って言っておくわ。あの女、もうすぐ死ぬんだから、死人に口なしよ。おほほ」 静子の高笑いが空港のラウンジに響き渡りました。彼女は自分の息子がどんな思いでそのお金を稼いだのか、一欠片も考えようとしませんでした。 … Read more